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『だれもわかってくれない:あなたはなぜ誤解されるのか』

著者のハイディ・グラント・ハルヴァーソンは社会心理学者。

なぜ人は誤解をされてしまうのか、そして誤解をしてしまうのか、という誰もが悩む普遍的なテーマを豊富な学説を紹介しながらやさしく解き明かしている。

自分は客観的にみてもらえないし、自分が自分をみるようには相手は見てくれないという現実

人間は、自分で思うよりずっと読みにくい存在だ。

相手は自分がそこに見いだすだろうと予想しているものだけをみる。人は自分の仮説を証拠づける事実ばかりに目を向けてしまう。これを確証バイアスという。

ある実験例が紹介される。
実験の参加者にはペアになってもらう。簡単には解決策が見つからない問題を議論させる。参加者たちにはあらかじめ、5つの交渉の目標を言葉にはださずに態度に示すように指示をした。各参加者に相手の5つの目標のうちどれかを推測させた。なんと、正しく推測できた確率は26%だそうだ。これはサイコロを振って当てるより若干ましな結果となった。なんともショックな実験例だ。

ほとんどの場合、自分の考えや気持ちは伝わってないのに、伝わったと勘違いしてしまう。これを透明性の錯覚と呼ぶ。

人は認識をケチる

人は認識をけちる。 他者を理解するときも、多くのショートカットや憶測を無意識に使ってしまう。

例えば、人は所属しているグループのイメージで、あいての行動や言葉を解釈してしまう。この解釈は自動でおこなわれるので、自分がそうしていることにすら気がつかない。

無意識で、性別、人種、民族、職業、顔のかたちなどのカテゴリーに対する思い込みで他者を判断してしまう。

童顔度によって判例が違う

ある研究例では裁判所の判例が童顔度によって大きく影響を及ぼしていることをつきとめた。意図的な器物損害の訴えのケースで、大人びた顔の被告人は、92%が有罪。一方、童顔の被告人の場合は45%だったという。

また過失による損害の場合は、結果が逆で童顔の被告人は85%が有罪、大人っぽい顔の被告人は58%だという。

恐ろしい研究結果である。童顔の人はヘマをするのは自然だけど、悪意をもって何かをしたと考えるのは抵抗があるのだ。

ハロー効果

人は抜きん出たよい特質を一つ持った人をみると、ほかにもよい特質を持っているに違いないと思い込む傾向がある。これはハロー効果とよばれる。ハンサムで魅力的な人をみると、頭も良くて信頼のおける人だろうと思ってしまう。

これらの誤解はすべて認識をけちるところからきている。

他者を判断する二段階のプロセス

人が他者を判断するのに二段階のプロセスがある。
第一段階は自動で行われる判断だ。人が相手の行動を目にしたとき、自動的に簡単な推測をしてしまう。相手が所属するカテゴリーへの思い込みを使って理解しようとする。すべて無意識でおこるので、ありのままを客観的にみていると信じてしまう。

第二段階は、状況や他の要素を考慮に入れ、最初の印象を修正する段階。ただし、この段階に進むには注意力やモチベーションが必要になるので、第二段階にいかない。

現実の生活では人は頭が他のことで占められてしまい、第二段階にいかないまま他者の認識のほとんどは第一段階のプロセスに基づいて行われる。

実は自分でさえも自分を正しく知らない

自分を正しく知ることすら難しい。自分をある特定の人間と見たがるモチベーションが働く。他人を認識するときだけでなく、自分自身を認識するときにも客観性がない。

人間関係で動作するメカニズムを鮮やかに解き明かした一冊。チームで制作をする人には必読の一冊だろう。

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