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『「偶然」の統計学』

絶対におこりえない偶然の一致や事故はなぜおこるのか、シンプルな法則をもとにそのメカニズムを解き明かす。

超大数の法則

10面をもつ筒状のサイコロがある。同じ目が連続で6回でる確率は、10万分の1の確率である。これだけをみると絶対におこりそうにないようにみえる。

ではサイコロをふるのは自分だけでなく、世界中で10万人の人が、それぞれ10面サイコロをもって6回投げたとすると、10万人のうち1人は同じ目が6回でることになる。

つまり母数が膨大だと、ありえない低確率の出来事がおこってしまう法則である。

現実の例だと、ロトの当選番号で同じ数字の組み合わせが連続ででることがある。これも確率的にはありえないのだが、世界中で行われているロトの抽選回数を考えると、おこっても全然おかしくないのだ。

選択の法則

6面をもつサイコロを3,600個投げたとする。そのうち、600個が6の目がでたとする。残りのサイコロは片付けてしまう。すべて6の目がでているサイコロだけが残される。当然だが、この瞬間のサイコロの目の平均は6である。

次に、この600個のサイコロを再度投げる。約100個で1の目、約100個で2の目が…でる。各目が100個づつ均等に近い結果になり、この場合の目の平均は3.5に下がる。

次に例として交通事故を抑制するためのスピードカメラの設置例が説明される。事故はまったく偶然でおこると仮定する。

カメラの設置候補地が3,600箇所あるとする。そこの事故の件数は1から6だとする。あいにくスピードカメラは600台しかない。そこで事故が6件の場所だけにしぼって、カメラを置く。この600台だけをみると、事故の平均件数は6である。

このカメラがおかれた場所だけで、再度平均をとると、事故はまったく偶然でおこると仮定しているので、事故の件数の平均は3.5に減少する。

スピードカメラの効果を過大評価してしまう危険性があるのだ。

起こったあとに、データを選ぶと確率は大きく変わる法則だ。

確率てこの法則

1987年10月19日のS&P500先物取引でおこった暴落の確率は、10の160乗の分の1の確率だという。どのくらいの低確率かはもはや想像できないが、200億年が20回連続しても起こりそうにない確率だという。

この確率計算はじつは変動のばらつきが正規分布に従うという前提になっている。ところが分布がわずかに違うだけで、確率は大きくかわってしまう。

正規分布の場合、5標準偏差(5σ)の確率は350万分の1で、おこりそうにないが、もしコーシー分布だとすると5標準偏差(5σ)の確率は16分の1になる。正規分布とコーシー分布はグラフの形状は見た目は似ている。

5つの法則が、豊富な事例、歴史とともに紹介

3つほど本書で紹介されている法則を紹介したが、ありえないことが起こってしまう5つの法則が、豊富な事例、歴史とともに紹介されている。

著者のデイヴィッド・J・ハンド氏は、インペリアル・カレッジ・ロンドン数学科名誉教授であり、王立統計学会前会長。英国の統計学会の泰斗による統計学リテラシーを高めるエッセイ。

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