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『超一流になるのは才能か努力か?』

原題は『Peak: Secrets from the New Science of Expertise』(Anders Ericsson著、Robert Pool著、2016)。

才能ではなく、努力が重要という本が多くでたが、著者のアンダース・エリクソンによれば、ただ長く練習を続けても能力は頭打ちになるという。

アンダース・エリクソンは音楽学校のバイオリン科の能力の発達を調べた研究をおこなう。世界トップクラスのバイオリストを輩出するベルリン芸術大学で、学生の能力を3つのグループにわけた。

Sランクはスーパースターで世界的なソリストになれる傑出した能力、Aランクは非常に優秀、Bランクはソリストのプラグラムは不合格だが、教員を目指すグループ。どのランクも年齢と性別が合うようにわけた。

バイオリンの練習方法やスキルセットは長い歴史の蓄積を経て標準化されている。なので、3つのグループはほぼ同一のカリキュラムや練習方法でトレーニングをつむことになる。それでも能力に差が出てしまう原因はなんだろうか。

結果としてわかったのは練習時間の差であった。
Sランクの学生は18歳までに7410時間、Aランクは5301時間、Bランクは3420時間だった。

バレエダンサーを対象にした別の調査でも同様の結果がでた。
練習時間と能力は相関関係がでたという。

これまでにさまざまな分野で実施されてきた多くの研究を見れば、練習に膨大な時間を費やさずに並外れた能力を身につけられる者は一人もいない、(中略)音楽、ダンス、スポーツ、対戦ゲームなどパフォーマンスを客観的に測れる分野なら例外なくトッププレイヤーは能力開発に膨大な時間を捧げてきた。たとえば世界最高のチェスプレイヤーの研究では、猛烈な訓練を10年以上積まずにグランドマスターの地位を手に入れた者はほとんどいないことが明らかになっている。

ただこのバイオリストの研究は、1万時間をかければ、能力を伸ばせるという単純な主張に誤解されてしまったという。実は普通の練習では時間をかけても、能力はのばせない。

アンダース・エリクソンは限界的練習という概念を提唱する。限界的練習を積んでいくと、心的イメージが構築され、能力が開発されるというのが本書の主張だ。この心的イメージは第3章をつかってまるまる説明している。

たとえば、チェスのグランドマスターは、試合途中のチェス盤をみるだけで、すべての駒の配置を覚えて、ゲーム展開を理解してしまう。心的イメージは瞬時に膨大な情報を処理できる。

限界的練習とは、自分の能力の限界を少し超える負荷のかかるトレーニングをおこなう。すぐにフィードバックを得て弱みや欠点をつぶしていく。そして集中すること。能力が頭打ちになったら、トレーニング方法を変えたり、レベルの高いコーチにかえること。そして限界的練習とは楽しいものではないという。

第6章では、一般のビジネスでの限界的練習を応用した例や、69歳で空手を習い始め黒帯を目指す人の例が紹介されている。

さまざまな研究例や脳科学のエビデンスを示しながら、才能とは生まれ持ったものではなく、作るものという主張をしている。自分の能力を限界をこえて伸ばしたいという人に必読書。

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