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『かぜの科学 もっとも身近な病の生態』

原題は『Ah-Choo!: The Uncommon Life of Your Common Cold』(Jennifer Ackerman、2010)。かぜは英語でcommon coldといい、ほんとうに身近な存在といえる。

本書を読んでみて、ほんとうに知らないことの連続だった。むしろ誤解していることばかりだった。

日常会話でも、冷えると風邪をひくとか、免疫がおちると風邪をひく、ビタミンCをとると風邪をひかないなどと言われる。本書を読めば、これらは誤解だということがわかる。

まず風邪は細菌ではなく、ウイルスだということ。そのウイルスの種類も200種類ほどある。医者にいって処方される風邪薬は抗ウイルス剤ではなく、症状をおさえたり、細菌を標的にした抗生物質だという。まったく知らなかった。

ある小児科医は著者へのインタビューでこう話す。

医学校では、両親には『これはただの風邪ウイルスです』と告げ、患者を家に帰すように訓練されます(中略)けれども実際にそうすると親御さんたちは不満なのです。そこで医師は効く保証もない治療法を提供し始めます。薬品会社のセールスマンが鼻炎薬や鎮咳剤をもって現れるでしょう。

風邪をひくメカニズムが仕組みから説明されている。鼻や眼からウイルスが体内に入り、細菌をハイジャックして増殖してゆく。鼻水やくしゃみなどの風邪の症状は、体がウイルスに抵抗する免疫反応でウイルスと戦っているのだ。これも知らなかった。風邪イコール症状だと思っていた。

またウイルスに感染しても、25%の人は症状はでないという。
この理由もいまだによくわかっていないという。

風邪をひきおわると、そのウイルスに対して体に抗体ができる。次からは同じウイルスには感染しなくなる。なので、一般的に大人になるほど風邪はひきにくくなる。

第1章で著者であるジェニファー・アッカーマンは、ある鼻スプレーの薬効試験に参加するルポから始まる。ユーモアあふれる文体ながら、膨大な資料やインタビューに基づく本格的な風邪の本。

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