DESIGNMAP

  1. TOP
  2. ブックレビュー
  3. 『「本屋」は死なない』

『「本屋」は死なない』

本屋とは何か、これから本屋はどうなるのかを追って、本屋で働く人々にインタビューしたルポルタージュ。

本書で登場するお店は自主的に本を仕入れて、棚を工夫し、棚を通してお客さんと会話をしている本屋が登場する。
おすすめの本があり、独自の棚や売れ筋を作っている。

全体を通して、著者の石橋毅史さんのじっくり取材するスタイルが印象に残る。

鳥取の定有堂書店には4日間滞在している。
定有堂書店では教室や読書会を開催するが、ほとんど無料に近い値段で行っている。ミニコミ誌を発行しながら、本が好きなお客さんとともにコミュニケーションをしながら棚をつくっている本屋さんである。文化を発信し、人と人が出会う場所をつくっている。

和歌山のイハラ・ハートショップでは3日間滞在している。
店主の読み聞かせイベントに同行したり、お店の空気、お客さんをじっくりと伝えている。

本屋というより、ぶらっと普段着で気軽にいける町の売店のような役割をになっている。

ひぐらし文庫の原田さんは序章、第1章、終章と本書で最も多く登場する人だ。
原田さんはパルコブックセンター、リブロを経て独立をした人である。

石橋さんは何度もお店に訪問し、長い時間のインタビューをしている。

POSレジが導入され問屋と全国の本屋が情報が共有されてから、新しいジャンルを育ててもすぐに刈り取られ、チェーン店にコピーされ消費されてしまう話がでてくる。ゆっくりと強いジャンルに育たないのだ。

本を売ることは単に並べて売るだけの商売ではない。
本屋がになっている根源的な役割を探していく。

第7章の「さまよう男」では、石橋さん自身が、定有堂書店で取材を終えて、大阪に車で帰るまでの自問自答である。石橋さんは分からないことを分かったように書かない。

名古屋の取材では、取材先から外れたところで偶然に良い本屋、気になる本屋を見つけている。

効率を重視しない取材スタイルだから出会えた偶然は本書の魅力のひとつ。
ロードムービーのような味わいのある一冊だ。

スポンサーリンク

プロフィール

DESIGNMAP
ディレクター
ON VISITINGを制作・運営。
お問い合わせ