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『五十嵐淳/状態の構築』

北海道を拠点に活躍されている建築家、五十嵐淳さんの作品集と設計プロセスを語ったレクチャー。

34の作品の制作プロセスを図やスケッチとともに語ったProcess編と30の作品の設計趣旨・配置図・平面図・断面図・アイソメトリック図・写真で紹介したWorks編の2部構成。ProcessとWorksをいったりきたりしながら読み進めていった。

寒冷地という場所から必然的に生まれた設計手法が興味深い。

建築の基礎を凍結深度より深く設置しないといけないので、半地下に基礎を置かねばならない。しかしその制約により床下空間に部屋が生まれ、上部に空間ができる。

「トラス下の矩形」は農業関係施設で使われている木造トラスをつかい柱がない動きのない空間。凍結深度の制約を活かし半地下の空間を使い、意識上の距離感をつくりだす。

北海道では住宅の玄関先に風除室という後付けの空間があり、冷気や風の侵入を防ぐ役割をもつ。この風除室を縁側のような緩衝空間ととらえ積極的に設計にとりいれていく。

「House O」では矩形のシンプルな設計から思考が始まり、光や風をとりこむために4つに分離する設計にかわる。しかしこれでは寒冷地では寒くて成立しない。そこで中央にリビング用の箱を置き、そこから周囲に囲むように箱をわがままに配置する。箱と箱の間に空間が生まれ、緩衝空間が生まれる。

制約を活かしてデザインしてゆくプロセスにインスパイアされる一冊だ。

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